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断面修復(プレパックド)工法

 プレパックド工法の概要
 
 断面欠損部が小さな場合には左官コテでモルタルを塗り付けたり、繊維材や急結剤を混入したモルタルを吹き付けて左官仕上げする等の方法が用いられています。しかし、断面欠損部が大きい場合には、吹付けたり左官コテで塗り付ける方法では、充填するモルタルを厚くすると重量で付着したモルタルが剥落する恐れがあるので、1回の仕上げ厚さをあまり厚くできないことになります。そのため、先のモルタル層が硬化してから次のモルタル層を塗り付けるといったように薄層を何層も重ねる必要があり、施工時間がかかるといった問題点が出てきます。それらを改善する方法として、型枠を設置する工法が用いられていますが、躯体コンクリートと補修用充填材の物性(弾性係数、熱膨張係数等)の違いによって構造物の温度変化や荷重載荷時の挙動が異なる、また、樹脂を注入する場合には断面積が大きいと不経済であり、発熱も大きくなる、等の理由から、予め粗骨材を型枠内に充填し、粗骨材間の空隙に後からモルタルもしくは樹脂を充填するプレパックド工法が用いられています。
 
 プレパックド工法は粗骨材をあらかじめの型枠の中に詰めておき、詰めた粗骨材間の空隙中にモルタル、樹脂などを注入充填してコンクリートとする工法です。
 
 断面欠損部の表面処理と鉄筋防錆処理
 
 どの工法にも共通の事項ですが、断面欠損部の浮きコンクリート、劣化したコンクリート等を祈り取り、鉄筋が錆びている場合には防錆処理を施します。
 
 充填部剥離防止処理と型枠設置
 
 劣化断面積が大きな場合には補修部分全体が剥落する恐れがあるので、アンカーボルトを打設します。コンクリートを鉄筋の裏側まで祈り出す場合には、その鉄筋による剥落防止効果が期待できるのでアンカーボルトは不要な場合も多いですが、鉄筋の裏側まではつり出さない場合には型枠保持材を兼ねてアンカーボルトの打設が必要です。
 
 充填材に流動性の高いモルタル材料、エポキシなどの樹脂などを使用するため、型枠の設置に際しては型枠と躯体コンクリートとの隙間にシーラントやゴムパッキンなどを挟み込み、漏出防止を図る必要があります。また、注入に際しては型枠に注入圧力が加わるため、注入圧を考慮した型枠保持装置(セパレータ等)の設置が必要な場合もあります。
 
 モルタル材を充填する際に、断面欠損部の躯体コンクリートが乾燥していると充填モルタルから水分が取られ、粘性が増加して流動性が悪くなる可能性があるので、断面欠損部のコンクリート表面に吸水防止剤の塗布を行うのが望ましいでしょう。しかし、吸水防止剤によっては充填モルタルとの付着を阻害するものもあるので、使用実績等の確認が必要でしょう。
 
 空気抜き口の設置
 
 壁等で型枠内の空気が上に集まる場合には型枠上部に空気抜きパイプを設置します。床版などで床版に直接空気抜き穴を設置可能な場合にはコアボーリングを行い、空気抜き穴を設置するようにします。型枠上部やコアボーリングによる空気抜きの設置ができない場合には、補修個所の断面の深い部分に空気抜きパイプを設置します。空気抜きパイプの設置に際しては注入口からのモルタルの流れを配慮し、空気溜りができないように配置する必要があります。
 
天井部注入口と空気抜きの設置状況
 粗骨材の投入
 
 モルタルを充填する場合には10mm~20mmの砕石あるいは川砂利を使用するのが一般的です。エポキシ樹脂の場合には流動性が良いので5mm~10mmの粗骨材で良いと考えられます。粗骨材をふるい分け、良く洗浄したものを使用します。エポキシ樹脂注入の場合には租骨材および断面欠損部を十分乾燥させる必要があります。粗骨材は圧搾空気で吹き込むなどの方法で型枠内に奥の方から順番に充填していきます。
 
 粗骨材充填の後、粗骨材投入口を型枠で塞ぎ、型枠面同士の継目、躯体コンクリートと型枠との接合部をシーリング材などで密閉し、充填材の漏出を防止します。
 
 壁部分で粗骨材を上部から投入できる場合には型枠上部の投入口から粗骨材の落下高さがあまり大きくならない様に注意して投入していきます。壁部分で1回の注入高さが高い場合には型枠に加わる注入モルタルの圧力が大きくなり、型枠がはらむ場合があるので注意が必要です。
 
 注入パイプの設置
 
 注入口の設置位置は充填材料の型枠内での流れ、空気抜き口の位置などを考慮して予め型枠に設置した注入口に注入パイプを取付けます。注入パイプには大きな注入圧力が加わるため、その構造、設置方法について十分に検討する必要があります。注入作業の切替えにより注入したモルタルが流出することのないように逆止弁、閉塞バルブの設置が必要になります。
 
梁部分の注入口、空気抜きの設置状況
 充填モルタルの選定
 
 プレパックド工法の充填材には、粗骨材の間や型枠の隅々まで行き渡るような流動性と、充填後ブリーディングを生じない、硬化後収縮しないといった安定性と十分な強度が要求されます。樹脂注入を行う場合にも粗骨材間を流動できる低粘性と、硬化後に断面収縮しない安定性が求められます。
 
 いずれにしても、材料の品質データ、使用実績を調査し、使用材料を選定する必要があるでしょう。
 
 充填モルタルの練混ぜ
 
 粗骨材と粗骨材の隙間が小さいため、充填モルタルには高い流動性が要求されます。そのため、充填モルタルはセメント、粒度を調整した細骨材、フィラー、膨張材、分離低減剤などをプレミックスした粉体と水、場合によってはポリマーなどを混入した混和液を予め定められた割合で混合し、充填モルタルを製造します。練混ぜにはハンドミキサ、グラウト用ミキサ等、比較的高速回転の練混ぜ装置を使用する必要があります。
 
 注入
 
 床版の注入は下面から内部の空気の逃げを想定しながらゆっくりと行います。あまり急速に注入すると粗骨材がモルタルと一緒に移動してしまい、空気が残留するなどの問題が生じるので注意が必要でしょう。注入は空気抜きから良質なモルタル材料が流出することを確認するまで行います。流出するモルタルの品質が所定のものであることを確認した後、注入口のバルブを閉め、次の注入口に切り替えます。
 
壁部の注入管、空気抜き設置状況
 養生温度が低下すると所定の強度が得られる時間が長くなるため、あまり低温とならないように注意して養生を行います。特に冬期には充填材料が凍ることのないよう、風よけ等を設置して、保温に努める必要があります。
 
 型枠脱型
 
 所定の強度が得られたことを現場養生の供試体強度で確認した後、型枠を脱型します。補修厚さが比較的薄いので、大きな力が加わると打継目から割れる可能性があるので注意する必要があるでしょう。
 
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