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すり減り

定義

 コンクリートのすり減りとは、コンクリート表面を移動する物質によって、コンクリートが継続的な外力を受け、その断面の一部が失われていく現象です。
 
 コンクリートのすり減りには、交通車輌の走行による舗装道路面のすり減り、人や荷役機械の移動による床面のすり減り、ダムや水路構造物に見られる砂礫やキャビテーション(空洞現象。流水の断面や向きが変化する場所の近くで空洞部ができ渦を起す現象。)によるすり減り、漂砂や消波ブロックの動きによる港湾構造物のすり減り、氷海域での海氷などによる構造物のすり減りなどの事例が、報告されています。

発生要因

 コンクリートのすり減りには大きく分けて、アプレージョン(切削)摩耗と表面疲労摩耗があります。アプレージョン(abrasion)摩耗では、コンクリート表面を摩耗の原因となる物体が、転がったり、滑ることによってコンクリートを損失させる摩耗で、砂礫によるダム・水路の摩耗、タイヤによる舗装路面の摩耗などはこれに該当します。一方、表面疲労摩耗では、コンクリート表面に摩耗の原因となる物体が角度をなして衝突することにより、コンクリートを損失させる摩耗であり、摩耗が進行すると穴を掘ったような形態となり、堰堤のエプロン部や、砂礫を含む波浪が作用する海岸構造物のすり減りが、これに該当します。
 
 すり減りを受けるコンクリートでは、まず、表面に継続的に作用する外力によって、①表層のモルタル層のすり減りが始まります。その後、②粗骨材が露出して粗骨材自体のすり減りが始まり、同時に粗骨材を結合するモルタルのすり減りが進行し、③やがて粗骨材が剥離するようになります。一般にモルタルよりも粗骨材の方が、すり減り抵抗性が大きいため、硬い粗骨材が多く混入されているコンクリートほど、すり減り抵抗性は高くなります。
 
 (1)舗装路面のすり減り
 
 舗装路面のすり減り現象については、通行する車輌の重量や速度、車輪の形状等が原因となり発生します。
 
 通行する車輌によって、モルタルと骨材が同様にすり減った場合には、舗装面が平滑になり、路面の摩擦抵抗が減少し、車輌の通行に支障をきたす場合もあります。また、積雪の多い地方では、タイヤチェーンを装着する機会が多いと思われますが、そういう場所ではタイヤの走行部分のみが大きくすり減り、舗装面がわだち状になり、平たん性が著しく低下して、「ハンドルのとられ」や「降雨時の水はね」を同時に引き起こします。
 
 すり減り現象は、粗骨材の混入率の増加により、すり減りの進行を低下させることができるとされています。一般的にモルタルのすりへり量の方が、コンクリートよりも大きく、コンクリート路面のすり減りとしては、粗骨材の硬さが大きく影響します。
 
 すり減りが進行すると、コンクリート断面が減少し表面の凹凸が増加するため、舗装路面ではわだち掘れが発生して、車の走行に障害をきたし騒音も大きくなります。海岸構造物では鋼材を保護する性能が低下します。
 
 (2)床面のすり減り
 
 工場や倉庫の床面を、車輌などが走行する建物では、走行物の重量や速度、床面の状態が原因となって、すり減りが生じます。
 
 工場や倉庫などに適用される塗床材料は無機質系と、合成樹脂系に大別されますが、床面のすり減りには表面の硬さが重要な要素となります。言いかえれば、すり減り抵抗性と掻傷抵抗性のある床材料を選定することが、すり減り防止には重要です。
 
 また、建築物の屋上駐車場等の防水層では、車輌の通行によるすり減り損傷が重要な課題になります。
 
 (3)水理構造物の砂礫によるすり減り
 
 ダム背面や導水路、排水路等の構造物にみられるすり減り現象は、河川勾配が急な場合や河川内の地形が狭く土砂等が堆積しやすいこと等が主な原因とされるようです。
 
 特に山岳地域に多くみられるようですが、水の流下だけならば長い年月をかけてさらされてもすり減り現象はほとんど発生しませんが、流水に砂礫等の混入があるとすりへりによる損傷は顕著に増大することになります。
 
 補修方法
 
 補修にあっては、すり減りが発生した部分の断面を修復することが基本となります。その場合、補修後のすり減りを極力防止するために、アプレージョン摩耗が卓越する部分では、コンクリート表面をより硬くする方法を、また表面疲労摩耗が卓越する部分では、逆にコンクリート表面を軟らかい材料でコーティングして、衝撃を和らげる方法を併用することが有効とされています。
 
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