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表面気泡(あばた)

定義

 表面気泡は、せき板に接するコンクリート表面に、コンクリート打込み時に巻き込んだ空気あるいはエントラップドエアがなくならずに残って露出し、硬化したものです。通称「あばた」ともいわれています。

発生要因

 コンクリート構造物を施工する際に、傾斜を有する型枠面を持つ場合などでは、十分な締固めを行っても材料分離した余剰水や空気泡により、型枠脱型後にコンクリート構造物の表面に、水泡や空気泡が発生する場合が多く有ります。
 
 表面気泡が発生する原因としては、型枠面の傾斜、コンクリートの凝結時間、締固め方法が挙げられます。表面気泡は、図-1に示すように型枠傾斜角度が小さくなるほど、また、打ち込まれるコンクリートのスランプが大きいほど発生しやすい傾向にあります。また、コンクリートの温度が高い場合には凝結が早くなるので、気泡が上昇できないまま硬化してしまい、表面気泡をつくりやすくなります。
図-1 型枠傾斜角度とあばた面積

構造物に及ぼす影響

 表面気泡(あばた)は、構造物の外観を損ねるだけでなく、コンクリート表面付近の品質に悪影響を及ぼし、コンクリート構造物の耐久性の低下を引き起こします。表面気泡が発生しやすい構造物の部位は、土木分野ではダム堤体、擁壁、水路、橋梁アーチ部等、主に傾斜面を有する場合(図-2)であり、建築分野では傾斜面のみだけでなく、化粧打放し仕上げの場合には、耐久性だけでなく美観上の問題となることも有ります。
図-2 表面気泡の発生しやすい部位
 表面気泡によるコンクリートの耐久性が低下する原因として、水あばたの様に表層部にブリーディング水が残りやすくなり、表層部の水セメント比が大きくなって強度や中性化抵抗性が低下します。また、気泡が表層部に生じ、その部分がポーラスの状態となって、表層部の強度が低下することが考えられます。
 
 中性化、水密性に関して表面気泡の有無について、比較を行った既往の研究によれば、いずれも表面気泡がある場合には、耐久性の低下が顕著となる(図-3、図-4:図中のNが表面気泡有りで、他が透水、吸水型枠を用いて表面気泡を抑止したものです。
図-3 促進中性化試験結果
図-4 透水量試験結果

補修方法

 一般にコンクリート構造物の表面気泡が生じた場合の補修は、表面気泡部にポリマーセメントペーストを塗布し、直ちにポリマーセメントモルタルを表面気泡部に押し込むようにして、密実に充填して行うのが一般的です。
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