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内部欠陥

概要

 内部欠陥とは、図-1、2などに示すように、トンネル構造物における覆工コンクリートの背面空洞やPC構造物におけるシース管内の空洞、建築物のタイル仕上げやモルタル塗り仕上げを施した場合に、コンクリートとモルタルとの界面浮き・剥離あるいはコンクリートとタイル張り付けモルタルとの界面浮き・剥離などで、コンクリート構造物の内部に生じたジャンカや空洞のことをいいます。
図-1
図-2

発生要因

 コンクリート内部に生じるジャンカや空洞は、施工不良に主な原因があり、鉄筋の腐食、水密性およびコンクリート構造物の維持管理上の問題となります。建築物では、タイル仕上げやモルタル塗り仕上げで生じる内部欠陥として浮き・剥離があり、その原因は次の通りです。
 
 ①射日射・降雨など乾湿・温冷による仕上げ層のムーブメント(動き)と、コンクリートのムーブメントの差(相対ムーブメント)を外力として生じる応力
 
 ②地震動やその他の荷重時に躯体に強制的に発生する変形・ひずみを外力としたり、面外方向の慣性力を外力として、取り付け界面に発生する応力
 
 ③躯体に発生したひび割れを外力として、周囲の仕上げに発生する応力
 
 タイル剥離の起こりやすい部位とその原因の一例を、表-1に示します。
表-1 タイル剥離の起りやすい部位とその原因

構造物に及ぼす影響

 鉄道トンネルの場合、覆工コンクリートが変形し、ひび割れが発生している場合には、図-2に示すように覆工コンクリートの背面に空洞がある場合が多い様です。特に巻厚が薄く、トンネル天端付近が地山に密着していないと、地山の変形や外力が作用する場合には、空洞へ向けて覆工が突き出すという様なクラウン部の座屈と呼ばれる変状がみられる場合も有ります。
 
 PC構造物におけるシース管内では、グラウトの注入不良が原因とする空洞が生じる場合が有り、グラウト注入に際しては、施工(注入)方法、注入材料の分離抵抗性や流動性等の品質管理を十分に行うことが必要です。シース管内に空洞が生じると、シース管内に侵入した雨水などによりことによって、PC鋼材が腐食性環境に置かれることになり、PC鋼材は非常に高い応力状態にあることから、腐食によるPC鋼材の破断の危険性が高くなり、PC構造物の耐荷力を大きく損なうことになります。

防止策

 内部欠陥の発生は、前述の通り施工不良が主な原因となるので、十分な施工管理を行うことが内部欠陥の防止に重要です。例えば、トンネル工事の場合には、空洞の発生を防止するためには、覆工コンクリートが正規の巻厚をもち、覆工背面に空洞がないことを検査する必要が有ります。
 
 PC構造物の場合には、グラウト注入材料の品質管理、施工管理を確実に行うことが重要となります。さらに放射線透過などによる充填状態の検査を行って、未充填箇所が発見された場合には、グラウトの再注入を行う必要が有ります。この放射線透過による方法は、放射線の物質透過作用、感光剤を感光させる作用を利用して、これをコンクリートに照射し、その透過量を測り、または透過写真を撮るなどして、構造物を傷つけることなく検査できる非被壊検査方法です。
 
 タイルやモルタル仕上げの場合には、タイルやモルタルが剥落する事によって、美観が損なわれるのみならず、人身事故を伴う危険性が極めて高いため、工事を行う時には所定の施工計画に従い、施工管理・検査を行うと共に、経年による劣化を防ぐために定期的な点検を行うことが重要です。この面では、内部欠陥として、はく離や空洞などの存在がありますが、これらの調査方法として赤外線法、超音波法、衝撃弾性波法、電磁レーダ法、放射線透過法などが有ります。
 
 これらの調査法として、赤外線による非破壊検査方法が最近利用されています。赤外線法は、赤外線カメラでコンクリートの表面を撮影し、表面の温度差を基に欠陥の位置を把握するものであり、表面から比較的浅い位置にある欠陥を調査するのに適しています。しかし、コンクリート表面が水に濡れると温度差を正しく計測することができないので、雨天時には使用出来ません。
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