本文へ移動

汚れ(変色)

定義

 コンクリートの汚れには、コンクリート表面の気泡、ひび割れ、剥離、すりへりなどに関わる表面の荒れ」、錆汁、エフロレッセンスや粉塵などの「表面の付着」、さらにはコンクリート自体の変色に分類されます。

発生要因

 都市の建築構造物においては、シリコーン系シーリング材を使用したサッシの下などでは、汚れ水が流れて黒ずんで見える場合が有ります。これは、シーリング材中の溶出成分(シリコーンオイル)などが雨水で拡散し、大気中の排気ガス、ばい煙などがその上に付着したものです。そのほかにも、ドロ汚れや油汚れなどがあります。コンクリート表面に、かび類、藻類、地衣類、こけ類などが付着して汚れが発生することも有ります。藻類やその死骸は、糖類やアミノ酸を含むため、これを栄養源にかび類が繁殖することになります。これらの微生物は生きている場合には緑や茶色ですが、やがて死滅するといずれも炭化して黒い汚れとなります。このような汚れは、表-1に示すように、日射や雨の掛かり方や流れ方に大きな影響を受けます。
表-1 汚れの発生箇所の分類
 この他には、コンクリートがたとえばアルカリシリカ反応、化学的侵食、火災などの劣化を受けると、コンクリート自体が変質して色調が変化することが有ります。アルカリ骨材反応では、ひび割れに沿ってゲルによる濡れが現れたり、硫酸イオンとの反応により褐色から白色に変化します。化学的侵食を受けてセメント水和物が変質すると、一般には褐色や黄土色に変色する場合が多く有ります。火災では、受熱温度によってすすの付着による黒色からピンク、灰白色、淡黄色などに変化することが有ります。

構造物へ及ぼす影響

 汚れや変色が構造物の性能に及ぼす影響としては、以下のように考える必要が有ります。表面の荒れや付着物による変色であれば、美観の低下のみ考慮すれば良いと思います。しかし、化学的侵食や火災によって、セメント水和物が変質して変色が発生している場合や、アルカリ骨材反応による汚れでは、コンクリート自体の力学特性が大きく変化したり、部材の力学特性が低下していることが考えられるため、構造物の耐荷性能や剛性の低下についても十分検討する必要が有ります。さらに、変色が錆汁によるものであれば、鋼材腐食が進行していることから、鋼材腐食に伴う耐荷性能や、耐久性の低下も考慮に入れなければならないでしょう。
TOPへ戻る