土木・建築構造物の総合メンテナンス −株式会社 月形−      −確かな技術で資産をガードする− ■土木・建築構造物の総合メンテナンス
表面保護工法
 
 
 工法の概要と目的
 
 表面保護(塗装材被覆)工法とは、コンクリート表面を塗装材により被覆する工法であり、下に掲載した写真の道路橋のような土木構造物、または建築構造物で幅広く用いられ、コーティングやライニングと称されることも有ります。ここで取り扱う塗装材被膜工法では、ガラスクロス等を塗膜内に含むFRPによる繊維シート接着工法は含まないものとします。
 
表面保護工法の例(道路橋床版)
 
 表面保護工法の目的としては、コンクリート構造物の劣化原因となる水、酸素、塩分、炭酸ガス、硫酸等のコンクリート内への浸透防止、汚れ防止や周囲環境との調和を図るための美観対策が挙げられます。
 
 ここで表面保護工法により、コンクリート表面(橋梁構造物)に形成される塗膜の一例を図−1に示します。
 
図−1 塗装材被覆工法による塗膜の一例
 
 @ 下地処理材は、プライマーと不陸調整材で構成されます。プライマーには、コンクリート面との付着性、耐アルカリ性を要求されるため、エポキシ樹脂材が一般的に用いられています。さらに、コンクリート表面の凹凸を滑らかにするため、エポキシ樹脂系パテが不陸調整材として多く使用されています。
 
 A中塗り材(主材)は、塗装材被覆工法の主目的である劣化原因となる水、塩分等の遮断のため用いられます。
 
 B上塗り材(仕上げ材)は、中塗り材以下を紫外線劣化等から保護することで、塗膜の耐久性を確保し、長期に安定した性能を発揮するために用いられます。
 
 この様に、塗膜は複数の塗装材の組み合わせにより複層で構成され、それぞれに異なった機能を有していることがわかると思います。
 
 塗装材被覆工法に用いられる材料と要求性能
 
 表−1に、塗装材被覆工法に用いられる材料について、その一例を示します。この様に、塗装材被覆工法に用いられる材料は多種多様です。さらに、プライマー、不陸調整材、主材、仕上げ材ごとに、その機能に応じて材料が使い分けられています。塗装材料に求められる性能について、おおよその項目を表−2に示します。塗装材被覆工法の適用は、中性化に対する予防保全対策、塩害損傷の補修、排気ガス等による汚染防止等、様々な場合が考えられます。
  
表−1 塗装材被覆工法に用いられる材料例
 
表−2 塗装材被覆工法の要求性能項目
 
 表−3は、各種機関における塗装材料の品質規格の一例についてですが、各機関ごとに施工の目的に応じて、要求性能項目を選定し、試験の方法、条件、基準値を設定しています。塗装材被覆工法は、その適用箇所の環境、施工条件、コンクリートの劣化状況に応じて、要求される性能を満足する必要性が有ります。
 
表−3 コンクリート保護工法材料品質基準
 
 塗装材被覆工法の施工
 
 表面被覆工法の施工においては、各メーカー各工法によって材料の種類から塗布量まで様々で、選択に苦労するほどです。
 
 しかし基本となる工程は各工法ほぼ同じで、以下の様になります。
 
 @下地処理・・・サンダーによる下地の目荒し(埃、油分、脆弱部分の除去)、もしくは高圧洗浄機による洗浄等。
 
 Aプライマー処理・・・塗り重ねていく材料の接着性を高めるための、コンクリート表面の緻密化を兼ねた表面処理。
 
 B不陸調整・・・下地の凹凸を極力なくすためのパテ材による段差修正処理。建設時の型枠の段差や、ジャンカ等の穴埋めも同時に行います。この時点で細かなピンホール等も処理されているのが理想ですが、中塗りで処理できる程度なら許容できる範囲です。
 
 C中塗り・・・最重要工程となります。コンクリート表面被覆保護としての機能で、一番重要なのがこの工程です。各メーカー規定通りの施工方法で、基準塗膜厚は最低限守る施工が必要です。メーカーによりますが、特にエポキシ樹脂系の場合、気難しい材料も多く硬化不良も起こしやすいので、材料混合時の計量は目分量ではなく、確実に計量して十分な攪拌をすることが絶対条件となります。
 
 D上塗り・・・Cの塗膜を紫外線等から保護する目的での最終工程です。ウレタン系塗料が多いですが、中にはフッ素系の高価な塗料を使用する場合もあります。
 
 なお、塗装材料の種類によっては、施工時の温度や施工対象面の水分に大きく影響を受ける場合があります。それぞれの材料の性能や性質を把握し、適した条件で施工することが重要です。
 
 塗装材被覆工法の適用上の注意
 
 塗装材被覆工法を劣化対策で採用する場合、その主目的は、コンクリートの劣化因子の遮断で有ることです。このため、既に劣化因子がコンクリート中に侵入し劣化損傷を生じている構造物に、この工法を適用する場合は、劣化損傷部を的確に除去し、断面修復工と組み合わせて実施することが必要になります。特に、塩害損傷を生じた構造物において、鉄筋腐食量を上回るような塩化物イオンが確認された場合は、このような部分を除去するか、電気化学的な補修を選定することが必要になります。また、水分を閉じこめてしまうような施工も考え物です。コンクリート中に水分が一定以上あると、塩害アルカリ骨材反応中性化凍結溶解作用助長させる原因になりますので注意が必要です。
 
 最後に、下水道施設における塗装材被覆工法(ライニング工法)の施工例について紹介します。下水道施設においては、下水が滞留するような箇所では、嫌気性状態において硫化水素が発生します。さらにこれが酸化されると硫酸となり、コンクリートが早期劣化を生じる原因となります。このために下水道施設においては、有機樹脂系材料による表面被覆工法が、良く実施されています。
 
 
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