土木・建築構造物の総合メンテナンス −株式会社 月形−      −確かな技術で資産をガードする− ■土木・建築構造物の総合メンテナンス
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂
ウレタン樹脂
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アクリルウレタン樹脂
フッ素樹脂
不飽和ポリエステル樹脂
ビニルエステル樹脂
アクリル樹脂(MMA)
シラン
シリコーン樹脂
 
 
 概要
 
 エポキシ樹脂とは、分子中にエポキシ基を2個以上持った化合物(主剤)と、分子中に活性水素(-NH2,-NH,-CONH-など)を2個以上持った化合物(硬化剤としてポリアミド、ポリアミンなどがある)とが、付加反応重合して、立体構造(三次元編目状構造)を形成して硬化します。
 
 エポキシ樹脂は、分子量の大きさにより、液状から固形までいろいろなタイプがありますが、汎用タイプのビスフェノールA型液状樹脂が多く用いられます。
 
 ビスフェノールA型液状樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応で作られます。
 
 ビスフェノールA型以外には、ビスフェノールF型(ベンゼン環の間が-CH2-となる)があり、A型よりも柔軟性のある硬化物を得ることができます。
 
 エポキシ樹脂を接着剤として配合設計する場合には、硬化剤の選択が最も重要なポイントとなります。 硬質、軟質、湿潤接着性など、多種多様な性能を生み出すことが可能であり、作業性と硬化性の両方から、要求される性能を満足するように硬化剤が選択され、配合が組まれます。
 
 また、エポキシ樹脂を柔軟化する場合には、硬化剤の選定以外に、エポキシ樹脂にウレタン樹脂などで変性した柔軟性付与樹脂やゴム、アスファルトなどの可塑剤を配合する場合もあります。 しかし、一般に、柔軟性のあるエポキシ樹脂は、硬質のものと比較して、耐水性、耐薬品性に劣ることに注意しなければなりません。
 
 一般的な特徴
 
 補修、補強分野において、エポキシ樹脂は最も多く活用されています。 その理由は、下記に示した卓越した物性であるからです。 これらの物性の多くは、他の高分子材料も所有していますが、エポキシ樹脂のように、全てを共有している高分子は他には見あたらないからです。
 
 <長所>
 
 @高分子材料の中で、硬化収縮(0.1〜1.0%)が小さい
 
 A金属、プラスチック、木材、ガラス、コンクリート、セラミックスなど、広範囲の材料に対し、接着性に優れる
 
 B柔軟なものから硬質なものまで、比較的自由に変性ができる。(機械的強度に優れる)
 
 C耐水性、耐アルカリ性、耐弱酸性、耐溶剤性に優れる
 
 D電気特性(電気絶縁性)に優れている
 
 E硬化中に放出される揮発物質がない
 
 <短所>
 
 @低温下(5℃以下)での硬化が遅い
 
 A紫外線によって劣化しやすい
 
 用途
 
 上記の性質を利用し、注人材、接着剤、塗料、複合材の結合材など、種々の用途に展開され、補修・補強分野では、最も多く使用されています。
 
 (a)ひび割れ注入材
 
 コンクリートに発生したひび割れの補修材として、JIS A 6024「建築補修用注入エポキシ樹脂」が規定されています。JISでは、強度の高い硬質形、伸び率50%以上の柔軟形の2種類、また、それぞれに対し、性状で3タイプ(低粘度、中粘度、高粘度)、施工時期による区分(一般用、冬用)があります。(計:2×3×2=12タイプ)
 
 また、土木学会においても、構造物の使用環境(特に温度と水の影響)を考慮し、ひび割れ注人材の試験方法を規定しています。
 
 従来、ひび割れが湿潤している場合には、水によって硬化阻害を生じたり、接着性が劣るなどの問題もありましたが、最近では、湿潤面用注入材が開発されています。
 
 また、コンクリート構造物(RC床版、建築物)のひび割れに注入された樹脂の耐久性は、30年以上あると確認された報告もあります。
 
 (b)充てん材
 
 道路橋鉄筋コンクリート床版の補強方法に、鋼板接着工法や縦桁増設工法があります。 コンクリート躯体と補強材である鋼材の隙間(t=5mm程度)に、エポキシ樹脂接着剤を注入・充填し、一体化補強する工法です。
 
 充てん材には、硬化収縮が小さく、接着性に優れていることから、エポキシ樹脂が主として使用されています。
 
 最近では、注入・充填性能を損なわず、低コスト化、低硬化収縮性を目的に、エポキシ樹脂に珪砂、フライアッシュなどを混入したモルタル状のものも開発されています。
 
 (c)接着剤(複合材の結合材としての利用含む)
 
 道路橋鉄筋コンクリート床版の補強や橋脚耐震補強方法に、カーボン繊椎シートやアラミド繊維シートに、接着剤を現場で含浸させながら積層化し、コンクリート躯体に接着させるFRP(Fiber Reinforced Plastics)接着(FRP巻立て)工法があります。
 
 カーボン繊維やアラミド繊維は、直径数ミクロンの非常に細い素線(フィラメント)であり、この素線を、数千本単位で集束させて糸とし、その糸をクロス、シート、チョップに加工しています。
 
 これらの繊維を補強に利用するためには、接着剤の要求性能として、@1本1本の素線の間に、よく浸透・固化させ、FRPとすること(複合材の結合材)、A躯体によく接着すること、Bシート同士を強く連結し、一体化させること(継ぎ手部の一体化)、などが必要です。
 
 エポキシ樹脂は、これらの性能を満足する接着剤として、活用されています。
 
 また、複合材の結合材としての利用には、上記FRP以外に、接着剤と骨材(乾燥細骨材、乾燥粗骨材)を混合して、ポリマーモルタル、ポリマーコンクリートとし、防食材料(耐酸性、耐アルカリ性)、カラー薄層舗装材(耐摩耗性)などに活用しています。
 
 その他接着剤の利用には、新旧コンクリートの打継、アンカーボルトの固定(樹脂アンカー)、プレキャストコンクリートの接合などがあります。
 
 (d)表面被覆材・防水材
 
 表面被覆材とは、コンクリート構造物の補修を目的に、コンクリート表面に塗布される合成樹脂塗料やポリマーセメント塗布材など、コンクリート表面に被膜を形成するものであり、下地処理材(プライマー)、不陸調整材(パテ)、主材(中塗り材)、仕上げ材などで構成されています。
 
 硬質形エポキシ樹脂は、接着性、ガス遮断性(酸素、炭酸ガス)、速水性、水蒸気遮断性、耐薬品性などに優れます。 また、柔軟形エポキシ樹脂は、各種遮断性能は硬質形よりも劣るものの、ひび割れ追従性を確保することができます。
 
 エポキシ樹脂は、必要性能に応じて選択することが可能であり、総合的にバランスが取れています。 したがって、表面被覆材を構成する下地処理材(プライマー)、不陸調整材(パテ)、主材(中塗り材)に多く用いられます。
 
 しかし、紫外線による変色や表面の白亜化(チョーキング)などを生じ易く、耐候性には問題があります。 そのため、仕上げ材には、耐候性に優れたウレタン系樹脂塗料、フッ素系樹脂塗料などを選択する必要があります。
 
 使用上の注意点
 
 (a)配合比の遵守と均一な混合
 
 エポキシ樹脂接着剤は、現場で主剤と硬化剤を、所定の配合比で、均一に混合して初めて、所定の性能を得ることができます。 そのため、使用に際しては、所定の配合比を遵守し、均一な混合を行わなければなりません。
 
 (b)気温の影響(粘度、反応時間)
 
 エポキシ樹脂製品の粘度と反応時間(可便時間、硬化時間)は、気温に大きく影響を受けます。 粘度は、ハチミツのように、気温が低くなると上昇(ネバリが強くなる)し、気温が高くなると低下します。(ネバリが小さくなる)
 
 反応時間も、粘度と同じように、気温が高くなると速くなり、低くなると遅くなります。 その割合は、おおよそ10℃上昇する毎に、半減し、降下する毎に倍増します。
 
 冬期にエポキシ樹脂を使用する場合、粘度が高いと混合しづらいため、加温して粘度を下げて行う場合もあります。 しかし、温度を上げれば、可使時間や硬化時間が短くなるため、上記関係を良く理解しておくことが重要でしょう。
 
気温と粘度、反応時間の関係
 
 (c)水の影響
 
 湿潤面への接着性は、乾燥状態に比較して約1/3以下に低下するため、接着面を強制乾燥させるか、湿潤面用接着剤を適用することが必要になります。
 
 
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