土木・建築構造物の総合メンテナンス −株式会社 月形−      −確かな技術で資産をガードする− ■土木・建築構造物の総合メンテナンス
ポリマーセメントモルタル
ポルトランドセメント
急硬性セメント
微粉末セメント
アルミナセメント
膨張材
無収縮グラウト材
ポリマーセメントモルタル
 
 
 コンクリート及びモルタルへのポリマー混和の概念は、それほど新しいことではなく、すでに1932年には、イギリスで天然ゴムラテックス混和による舗装材の特許が公告されています。
 
 ポリマー混和剤(polymeric admixture,polymeric modifier)とは、コンクリート及びモルタルに、それらの性質を改善する目的で混和されるポリマー(polylller、重合体の意味で、広義には有機高分子材料全般を指す)のことで、「セメント混和用ポリマー(polymer for cement modifier)」とも呼ばれています。
 
 ポリマー混和剤を混和したコンクリート及びモルタルを、それぞれポリマーセメントコンクリート(polymer-modified concrete又はpolymer-cementc oncrete、略称PMC又はPCC)、及びポリマーセメントモルタル(polmer-modified mortar又はpolymer-cement mortar、略称PMM又はPCM)と称すとしています。
 
 それらの製造に当たっては、通常のAE剤や減水剤のような混和剤よりもかなり多量(セメントに対して5mass%以上、ただし水溶性ポリマーでは3mass%以下)のポリマー混和剤が使用されています。
 
 ここでは、無機材料に関する部分にしぼり、ポリマー混和剤については概略を説明することにしたいと思います。 ポリマー混和剤には、図1に示すような種類がありますが、大別すると、水溶性ポリマーデイスパージョン(polymer  dispersion)、再乳化形粉末樹脂(redispersible polymer powder)、水溶性ポリマー(watersoluble polymer)及び液状ポリマー(liquid polymer)の4種類となります。
 
図−1 ポリマー混和剤の種類
 
 AE剤や減水剤などの化学混和剤の多くは、コンクリート及びモルタルがフレッシュであるときに作用し、それらの性質を改善しますが、硬化後においては、混和剤自体が著しい効果を及ぼすことはほとんどありません。それに比べて、ポリマー混和剤を用いたポリマーセメントコンクリート及びモルタルでは、結合材がセメント水和物とポリマーの2成分からなる、いわゆる”comatrix.”相であることに大きな特徴があります。ポリマーセメントコンクリート及びモルタルの製造に当たっては、前述したとおり、かなり多量のポリマーが混和され、フレッシュであるときと硬化したときにおいて、各種の効果を与えることになります。したがって、セメントの水和とポリマーフイルムの形成が同時に進行し、ポリマーの網状構造を含む一体化した”comatrix”'相を形成することが重要なことです。
 
 ポリマーセメントコンクリート及びモルタルは、前述したとおり、”comatrix”相を持つことが大きな特徴であり、以下に示すように、一般にコンクリート及びモルタルの性質が著しく改善されます。
 
 @ワーカビリティーが良好で、所定のコンシステンシー(スランプやフロー)を得るのに要する水セメント比が、ポリマーセメント比の増加に伴い低減できる。このことは、高強度の発現と乾燥収縮の低減にも寄与する。
 
 A適度の空気連行性がある。これは、コンシステンシーの向上と凍結融解抵抗性の改善に良い効果を与える。
 
 B保水性が向上する。
 
 Cブリーディングや材料分離抵抗性が優れる。
 
 D若干、効果が遅れる場合がある。 しかし、実用上差し支えるほどではない。
 
 E長期の水中養生を行わずとも、強度発現に優れ、特に、引張及び曲げ強度が大きく、伸び能力も増大する。さらに、養生中も保水性が良好なため、長期間に渡ってセメントの水和が進行し、長期強度の増進が著しい。
 
 Fポリマーフイルムの形成による水密・気密性の組織構造となるため、吸水及び透水に対する抵抗性と、凍結融解抵抗性が向上する。また、大気中の二酸化炭素による中性化に対する抵抗性と塩化物イオン浸透に対する抵抗性も優れ、鉄筋の防錆上からも有利である。
 
 Gコンクリートやモルタルはもちろんのこと、石材、鋼材、タイルなどの各種材料に良く接着する。
 
 H減水効果、長期間にわたる良好な保水性と強度増進などの複合効果として、乾燥収縮やクリープが低減される場合が多い。
 
 I耐衝撃性及び耐摩耗性に優れている。
 
 J形成される水密性組織のため、弱酸、アルカリ、塩類、ポリマーの種類を選べば油類に対する化学抵抗性が改善される。
 
 Kポリマーの種類とポリマーセメント比を選択すれば、良好な難燃性を与える。
 
 表1に代表的なポリマーセメントモルタルの強度などの物理的性質を、表2に耐薬品性を、表3に見掛けの塩化物イオン拡散係数を示します。ポリマーセメントモルタルは、普通モルタルに比べて、接着性、曲げ引張強度、水密性、耐薬品性などの各種の性質が優れているので、鉄筋コンクリート構造物の補修などに積極的に利用されています。我が国では表4に示すような用途に使われています。
 
表−1 ポリマーセメントモルタルの強度特性
 
表−2 ポリマーセメントモルタルの耐薬品性
 
表−3 見掛の塩化物イオン拡散係数
 
表−4 ポリマーセメントモルタルの用途
 
 ポリマーセメントモルタルの配合設計上の注意事項は、以下のとおりです。
 
 @一般のコンクリート及びモルタルの配合設計がワーカビリティーと圧縮強度に注目して行われるのに対して、ポリマーセメントコンクリート及びモルタルはで、これら以外の性質、すなわち曲げ・引張強度、接着性、水密性、耐薬品性なども考慮して配合設計を行う必要がある。
 
 Aポリマー混和剤の混和による結合材相の改質は、セメントによる健全な結合材組織の形成が前提であるため、セメントの水和を妨げるような必要以上のポリマー混和剤の混和を避けなければならない。
 
 Bポリマーセメントコンクリート及びモルタルの性能は、水セメント比よりもむしろポリマーセメント比によって制御されるため、要求される性能が得られるようにポリマーセメント比を決定する必要がある。通常、ポリマーセメント比は、5〜30%の範囲で使用される。表5にポリマーセメントモルタルの標準配合を示す。
 
表−5 ポリマーセメントモルタルの標準配合
 
 Cポリマー混和剤の多くは、他の化学混和剤が持つ性能、たとえば低水セメント比でのワーカビリティーの向上作用、空気連行性などの性質を有しているため、他の化学混和剤と併用して使用することはほとんどない。そのような併用が要求された場合には、フレッシュコンクリート及びモルタル中でのポリマーの安定性、形成されるポリマーフイルムの機械的性質などに及ぼす他の化学混和剤の影響を、前もって十分に検討する必要がある。
 
 塗付けタイプのポリマーセメントモルタルに加え、近年、大面積における断面修復工事が増大しており、吹付け施工可能なポリマーセメントモルタルが市販されており、一度の吹付け施工で厚付けが可能となり、施工効率も向上しています。ポリマーセメントモルタルの施工上の注意事項は、
 
 @ポリマーセメントコンクリート及びモルタルの施工に当たっては、一般のコンクリート及びモルタルと同様の注意を払えばよい。
 
 Aポリマーセメントコンクリート及びモルタルは、接着性に優れるため、型枠に用いる剥離剤としては、従来からのコンクリート用剥離剤は不適当であり、シリコーン系グリースやワックスが推奨される。同じ理由から、ミキサ、振動機、こてなどの施工機器(用具)についても、使用後よく清掃する必要がある。
 
 B水溶性ポリマーデイスパージョン及び再乳化形粉末樹脂のようなポリマー混和剤を用いるポリマーセメントコンクリート及びモルタルの場合には、その作用機構に基づき、初期に湿潤養生、引き続き乾燥養生することが推奨される。
 
 Cポリマーセメントコンクリート及びモルタルの未硬化時における散水や降雨によって、仕上げ面にポリマー混和剤が浮き出てくるので、完全硬化まで散水を避け、また降雨の懸念があれば施工を見合わせ、雨のかからない適当な処置を講ずる。
 
 D寒冷地や冬期の施工に際しては、硬化促進のために、早強ボルトランドセメント、超速硬セメントなどの使用が可能である。一般的には、気温が5〜30℃の範囲における施工が望ましい。
 
 (a)「U−ミックス」
 
 U−ミックスは、エチレン酢酸ビニル系ポリマー混和剤を混和したRC造・SRC造・PC板等の下地調整を目的としたプレミックス左官用補修モルタルです。左官工事の多様なニーズに応えるべく、それぞれの用途・目的に合わせ、しごき用「U−ミックス#10」「U−ミックス#11」、補修用「U−ミックス#20」「U−ミックス#21」、厚塗り用「U−ミックス#30」、床・タイル下地用「U−ミックス#50」の6品種があります。
 
 特徴は、@安定した品質確保(自動制御システムにより生産されるプレミックスモルタル)、A作業能率の向上が挙げられています。
 
 U−ミックスの物性例を表6に示します。
 
表−6 U−ミックスの物性例
 
 (b)「エレホンフィックス」
 
 エレホンフィックスは、アクリル系合成エマルション、耐アルカリ性ガラス繊維及び用途に応じた特徴を持つ特殊セメント、骨材等を配合し、劣化コンクリート構造物の内外壁、天井部の全面塗り補修及び欠損部の部分補修に優れた効果を発揮するプレミックス左官用補修モルタルです。
 
 エレホンフィックスシリーズには、フィックス(早強)の他、「Tシック」(早強厚付け)、「Qクイック」(速硬)、「Lライト」(軽量)、「Rリペアー」(汎用補修)の5品種があり、防錆剤エレホンラストチェンジ、下地強化剤エレホンアルカードエポ、接着補助及び中性化を抑制するA1〜A3プライマー、微粒子注入材ファインショットなどを組み合わせ使用することにより、耐久性に優れた修復が実現できるとしています。
 
 特徴は、@セメント中の高アルカリ下において優れた耐触性を示すジルコニアを主成分とする繊維束が加水混練中にほぐれ、きめ細かなネットを形成し、これにより剥落を防止する等のネット張り工程が不要になる、A粒度、粘度調整及び可塑性付与剤等の添加によりコテのびやコテ離れが良く、ダレ、ズレを防止する、B厚付け、速硬、軽量、汎用と施工条件にあった材料の選択により工期短縮、工事の安全性向上が挙げられています。
 
 エレホンフィックスの物性例を表7に、フィックス工法材料選択基準を表8に示します。用途は、外内壁、天井部の全面補修・部分補修、鉄筋発錆部補修、ひび割れ・浮き部の補修などが挙げられています。
 
表−7 エレホンフィックスの物性例
 
表−8 フィックス工法使用材料選択基準
 
 (c)「セメンテックス」
 
 セメンテックスは、特殊カチオン系スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスのポリマー混和剤であり、プレミックスモルタルの「モルタルエース」との混合により、コンクリート構造物の補修・改修工事に適用する補修材料です。
 
 特徴は、@二酸化炭素の浸透、拡散を抑制し、中性化防止効果がある、A塩化物、酸素の拡散抵抗性が大きく、防錆効果がある、B低透水性で、錆難く、アルカリ骨材の抑制効果がある、C耐アルカリ性に優れているなどが挙げられています。
 
 各種被着体との接着性について、接着強さを技術資料として提示しており、セメンテツクスモルタルの接着対象として、@非常に良く接着するもの:コンクリート、モルタル、鋼板、陶磁器タイル、エポキシ樹脂、ガラス・かわら・石材、A良く接着するもの:アクリル系・ウレタン系外装材、合板、木材、カラー鉄板、ステンレス板等、B接着しにくいもの:塩ビ系・合成ゴム系防水シート、ウレタン樹脂、高質などを挙げ、注意事項として、C接着しないもの:アルミニウム板、FRP、ポリエステル系プリント板、離型剤処理された下地材を挙げています。
  
 (d)「BR−CL」「ソルトストップ」
 
 BR−CLは、カチオン系アクリルポリマーディスパーションと無機質結合材、特殊無機質軽量骨材とを配合したプレミックス左官用補修モルタルです。コンクリート構造物の損傷部の補修工法「BR工法」として、「BR−X」(塗布型防錆剤)、「BR−B」(含浸固結・アルカリ付与剤)、「BR−AD」(下地調整材)、「BR−CL」(コンクリート欠損部充填材)の4つの基本材料の相乗効果による、中性化・塩害に対する補修システムを提案しています。また、ソルトストップは、BR−CLと同様、カチオン系アクリルポリマーディスパーションをポリマー混和剤とし、特殊軽量骨材を使用した、プレミックスタイプのポリマーセメント系軽量速硬モルタルで、特徴は、@軽量で取扱いが容易、A速硬性、B優れた厚塗り性が挙げられています。表9にBR−CLとソルトストップの物性例を示します。
 
表−9 BR−CLとソルトストップの物性例
 
 (e)「ショウテック早強」「ショウクイック」
 
 ショウテック早強は、コンクリート構造物の補修工事用に開発されたプレミックスタイプのモルタルで、ポリマー混和剤のベタルスWPを混練水と一緒に混和して練り混ぜる左官方法により施工する補修材料です。
 
 施工箇所、塗厚等に合わせて、「ショウテック早強#100」(薄塗)、「ショウテック早強#200」(厚塗)、「ショウテック早強#300」(グラウト)の3品種があります。
 
 ショウクイックは、防水、防食及び塗り床改修工事用に開発された急硬タイプのプレミックスモルタルで、ショウテックと同様、ポリマー混和剤ベタルスWPを混練水と同時に混和する断面修復モルタルです。施工箇所、塗厚等に合わせて4品種が用意され、そのうち、2品種には特殊繊維が混入されています。用途は、コンクリート構造物の小面積、大面積の欠損部補修、工場・倉庫・駐車場等の床補修、コンクリート逆打ち・逆巻き工事における上部充填・据付工事、その他土木・建築工事等の緊急補修工事が挙げられています。表10にショウテックの物性例を、表11にショウクイックの物性例を示します。
 
表−10 ショウテックの物性例
 
表−11 ショウクイックの物性例
 
 (f)「サーブ15」「ライオンGRLC-S」
 
 サーブ15は、高性能特殊粉末樹脂及び特殊短繊維をプレミックスした特殊無機系パウダーからなるポリマーセメント系吹付け用補修モルタルです。一度の吹付け施工で厚付けを可能とし、大幅に工事の施工効率を向上した補修モルタルです。
 
 特徴は、@優れた施工性(吹付け施工時の跳返り及びダレが少なく、天井面に一度に最大30mmの厚吹きが可能)、A高いひび割れ抵抗性(高性能特殊短繊維を配合しており、乾燥や衝撃などによるひび割れに対して高い抵抗性を示す)、B優れた付着性(高性能特殊粉末樹脂を配合しており、付着性に優れ、下地との一体化が図れる) が挙げられています。
 
 ライオンGRLC−Sは、高性能特殊粉末樹脂及び特殊短繊維をプレミックスした特殊無機系パウダーからなるポリマーセメント系左官用補修モルタルです。最近では、「ライオンGRLC−SP」の商品名でポリマーセメント系吹付け用補修材も開発されています。
 
 特徴は、@優れた施工性、A高いひび割れ抵抗性、B優れた付着性、C優れた耐久性が挙げられています。表12にサーブ15、ライオンGRLC−S及びライオンGRLC−SPの物性例を示します。
 
表−12 サーブ15、ライオンGRLC−S、ライオンGRLC−SPの物性例
 
 用途としては、コンクリート構造物の劣化部分の断面修復工事として、鉄筋の腐食によるかぶりコンクリート剥落部分や衝撃などによる欠損部分の修復が挙げられています。
 
  (g)「AR注入モルタル」「VHEモルタル」
 
 AR注入モルタルは、鉄筋コンクリート構造物の治療方法として開発されたアサノリフレッシュシステムのAR−RC工法とAR防錆工法に用いる大断面修復用(プレパックド法)補修材料です。
 
 スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスのポリマー混和剤とプレミックスのAR注入モルタルパウダーとの混合により、下地との付着性に優れ、ブリーディング等の材料分離のないプレパックド注入材に用いる断面修復材で、断面欠損が大きい逆打ち箇所の断面修復に用いられています。
 
 AR−RC工法、AR防錆工法には、スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスのポリマー混和剤を混和するAR断面修復材(左官法)、中性化抑制や塩害抑制に用いるAR表面被覆材もあります。
 
 VHEモルタルは、特殊ポリマーエマルションのポリマー混和剤と、速硬性特殊セメントをベースに、耐アルカリガラス繊椎を補強材として用いたプレミックスモルタルとの混合により得られる、速硬性断面修復材料です。
 
 品種として、軽量タイプ(A)と普通タイプ(B)の2種類があります。特徴は、@優れた作業性、A早い強度発現性、B優れた接着性能、C高い曲げ強度と耐衝撃性などが挙げられていますています。表13にVHEモルタルの物性例を示します。
 
表−13 VHEモルタルの物性例
 
 (h)「デンカスプリード」「RIS322」「デンカサンタイト」
 
 デンカスプリードは、スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスのポリマー混和剤と、ビニロン繊維、特殊セメント及び骨材等を配合したプレミックスモルタルからなる湿式吹付け用断面補修材です。
 
 特徴は、@高い密実性と特殊配合による低収縮の実現、A密着性に優れ、高い付着強度の実現、B湿式吹付け工法による低粉塵・低リバウンドの実現、C優れたポンプ圧送性、D1回当たりの吹付け厚が大きい、E急結剤を使用せず、コテ仕上げが可能などが挙げられます。用途は、耐久性を要求される断面修復工事で、特に大面積、大吹付け厚での施工でメリットを発揮すします。また、防錆モルタル(亜硝酸塩混和モルタル)のベースモルタルとしても最適です。
 
 RIS322は、スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスのポリマー混和剤と急硬性特殊プレミックスセメントとを組み合わせた、速硬タイプのコテ塗り補修用ポリマーセメントモルタルです。
 
 特徴は、@優れた付着性、A収縮が小さく、ひび割れ抵抗性に優れる、B耐中性化、水密性に優れ、長期の耐久性が期待できるなどが挙げられています。デンカサンタイトは、硫化水素ガスの作用で損傷したコンクリート構造物、あるいは損傷する恐れのあるコンクリート構造物に適した無機系の防食材料です。耐薬品性に優れた成分が混入されているため、長期にわたり優れた耐酸性を保持することができ、下水道施設のような湿潤状態での施工が可能で、ビニロン短繊維を適量混和しているため、吹付け施工時のリバウンドロスが非常に少なく、ダレが生じないのが特徴です。また、厚吹きが容易に出来るため、従来工法と比較して、工期が短い、施工費が安いなど、施工性や経済性に優れた材料です。用途は、下水処理施設のコンクリート構造物の補修・改修、下水道管渠の補修・改修が挙げられています。表14にデンカサンタイトの物性例を示します。
 
表−14 デンカサンタイトの物性例
 
  (i)「NSメンテモルタル」「NS−DMモルタル」
 
 NSメンテモルタルは、コンクリート構造物の豆板、打継ぎ、コールドジョイント部、欠損部、ひび割れなどの補修・改修に使用するプレミックスタイプのポリマーセメント系補修材料です。コンクリートへの優れた接着性とともに、防水、鉄筋の防錆、中性化抑制の機能を有しています。工期短縮のための、軽量速硬タイプ「NS−RLモルタル」もあります。
 
 NS−DMモルタルは、厚付け性に優れ、1回の塗り厚が25mmを越える欠損部の補修・改修用のプレミックスタイプのポリマーセメント系軽量速硬モルタルです。表15にNSメンテモルタル、NS−DMモルタルの物性例を示します。
 
表−15 NSメンテモルタル、NS−DMモルタルの物性例
 
  (j)「エマコS88C」「エマコS88C−H」
 
 エマコS88Cは、水を加えて練り混ぜるだけですぐに使用できるプレミックスタイプの特殊セメント系断面修復用モルタルで、吹付け工法用補修材です。特徴は、@成分にプラスチック短繊維を加えているため、1回の施工で厚塗りができ、大面積の場合には吹付け工法を用いるため、大幅に工期短縮が可能、Aダレを生じず、リバウンドロスが少ない、B早強性、高強度性、C透水性が低く、耐久性に優れるなどが挙げられています。
 
 エマコS88C−Hは、下水道施設などのコンクリート構造物の腐食に関与していると言われている、硫黄酸化細菌(Thiobacillus)に対して有効な防菌剤を配合した新しいタイプの補修用特殊セメント系補修材料であり、硫黄酸化細菌の関与によって劣化したコンクリート面を、腐食に強い健全な状態に修復することができます。そのほか、「エマコ断面修復材シリーズ」として、劣化したコンクリート構造物を適正に事後保全するための補修・補強材科として、適材適所に各種タイプの商品をラインアップして、各種断面修復工事に対応しています。表16にエマコ断面修復材シリーズの性能例を示します。
 
表−16 エマコ断面修復材の性能例
 
 (k)マグネライン
 
 マグネラインは、ポリアクリル酸エステル系特殊ポリマーモルタルで、近年の交通量増大と車両の大型化、スピードアップによって、疲労、損傷度が急激に増大した既設の道路橋床版の下面増厚補強用に開発された材料です。
 
 特徴は、@接着力が強いとともに、硬化前は粘性があり、硬化後は弾性的な補強材であることから交通振動下の施工が可能、A下面増厚補強のため、雨天の施工も可能、B交通止めによる交通規制の必要がなく、工事中の振動、騒音が少ない、C建設廃材の発生量が少ないなどが挙げられています。
 
 用途は、橋梁床版コンクリートの下面増厚補強の他、隊道・管渠などの断面補修・補強、過酷な環境下でのコンクリート構造物の保護及び補修、建築構造物における各種メンテナンスなどが挙げられています。表17にマグネラインの物性例を示します。
 
表−17 マグネラインの物性例
 
 (l)「アーマ#300P」
 
 アーマ#300Pは、スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスを主成分とするポリマー混和剤と特殊繊維、特殊セメント及び骨材等を配合したプレミックスモルタルからなる湿式吹付け用断面補修材です。
 
 特徴は、@特殊繊維を配合しているため、吹付け時におけるリバウンドを少なくできるとともに、ひび割れ抵抗性が大きい、A吹付け施工後の左官仕上げが容易、B既設コンクリートとの接着性に優れている、C静弾性係数が小さく、既設コンクリートの挙動に追従するなどが挙げられています。
 
 コンクリート構造物用無機系補修材料「アーマシリーズ」として、プレパックド工法用「アーマ#500」、モルタル充填工法用「アーマ#510」、ひび割れ注入用「アーマ#600」の品種もあります。表18にアーマ#300の物性例を示します。
 
表−18 アーマ#300の物性例
 
 
TSUKIGATA CORPORATION
2000-2012 Tsukigata Corporation