土木・建築構造物の総合メンテナンス −株式会社 月形−      −確かな技術で資産をガードする− ■土木・建築構造物の総合メンテナンス
溶出・摩耗
ひび割れ
浮き
剥離
ジャンカ
コールドジョイント
錆汁
エフロレッセンス
中性化
塩害
凍害
アルカリシリカ反応
科学的腐食
たわみ
変形
疲労
溶出・摩耗
内部欠陥
表面気泡(あばた)
すりへり
汚れ(変色)
特殊環境下での劣化
 
 
 溶出とは、コンクリート中のセメント水和物成分が周囲の水に溶解して硬化体組織が疎となる変質・劣化現象です。短期的には、汚れエフロレッセンスの発生による美観の低下が生じます。さらに、溶出が相当長期間継続すると、水和組織の多孔化とそれに伴う強度低下が生じることになります。したがって長期的には、使用性能や安全性能に影響が生じる場合が有ります。
 
 磨耗は、表面の相対運動の結果として起きる物体の操作面からの物質の逐次損失として定義される現象です。コンクリート構造物では、舗装路面の損傷、砂礫などによるダム・水路構造物の損傷、人や物の移動による床面の損傷、あるいは海氷や淡水氷による構造物の損傷として顕在化します。
 
 メカニズム
 
 セメント系材料の水和生成物は難溶性ですが不溶性では有りません。したがって、水和物の一部はわずかながら溶解していきます。主要な水和生成物のうち最も溶解度が大きいのは水酸化カルシウムです。また、硬化体の各種性能を支配する最も重要な水和物はカルシウムシリケート水和物(C-S-H)です。以上のことから、これら二つの水和生成物に着目して溶出のメカニズムを説明します。
 
 @コンクリート表面から、接触する水へ水酸化カルシウムが溶出する。
 
 A表面近傍で生じるカルシウムイオンおよび水酸化物イオンの濃度低下を補う形で、内部からそれらのイオンが移動する。
 
 B移動によって細孔溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオン濃度が低下した部分で、固相の水酸化カルシウムが溶解する。
 
 C固相の水酸化カルシウムが消費されるまで、@〜Bが繰り返しで継続する。
 
 D水酸化カルシウムが消費されると、C-S-H の溶解が生じ、カルシウムイオンが細孔溶液に供給される。また水酸化カルシウムの場合と同様に、濃度勾配によって内部から表面に移動する。
 
 Eカルシウムの溶出が続くと、C-S-HCa/Si 比の低下した部位で脆弱化が生じる。
 
 上記のメカニズムにより、水に接する表面からアルカリ分の消失によるphの低下、硬化体組織の多孔化による強度の低下などが、徐々に進行していくことになります。
 
 劣化の進行は、水との接触面から順に内部方向へ向かって、固相中のカルシウムが消失して C-S-H も分解した完全劣化層、水酸化カルシウムが消失して部分的に C-S-H が残存する遷移層、水酸化カルシウムが残存する健全層が形成されるように表面から層状になります。
 
 以上のメカニズムから、溶出速度に影響を及ぼす最も大きな要因は、接触する水質で有ることがわかると思います。すなわち、外部接触水中の成分濃度が低く、純粋な水であるほど細孔溶液との濃度差が大きくなり溶出が促進されることになります。溶出する水和物はカルシウムを含むことから、軟水において溶出が顕著となります。また、硬度のほかに酸の影響も重要です。塩酸や硫酸などの強酸の影響については「化学的腐食」に記してありますが、その他の酸性水として遊離炭酸ガスを多く含む水や酸性雨などが挙げられます。これらの弱酸性水は、中和反応に寄与する分だけ中性水よりもセメント成分を溶解する容量が大きくなります。表−1は、接触水の溶出に与える影響の大きさを表す、評価基準例です。
 
表−1 自然水の浸食性評価基準
 
 「磨耗」とは、先に示した定義のとおり、現象を示す言葉であって、機構を示すものでは有りません。したがって磨耗を生じるメカニズムは一つではなく、コンクリートに関連する磨耗としては、表面にひび割れやピットを生じる表面疲労磨耗と表面に引っかき傷や溝、すじ筆が生じるアプレイジョン(切削)磨耗が有ります。
 
表−2 相対運動別による磨耗の分類
 
 また相対運動ごとに磨耗現象を分類すると表−2のように、基本的には固体同士による相対運動(すべり、ころがり、衝撃、振動)と、固体と液体の相対運動(エロージョン、キャビテーション)とに分類されます。
 
 
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