土木・建築構造物の総合メンテナンス −株式会社 月形−      −確かな技術で資産をガードする− ■土木・建築構造物の総合メンテナンス
計画修繕工事について
 
 
 1.マンションと戸建て住宅の遠い
 
 鉄筋コンクリートや鉄骨・鉄筋コンクリートで出来ているマンションの建物は、木造の戸建て住宅のように腐ったり、燃え易いという欠点がないので、何もしないで居ても丈夫で長持ちするものと思われがちです。確かに、鉄筋コンクリートや鉄骨・鉄筋コンクリートで出来ているマンションは、火災や地震に強いと言う優れた長所を持っています。現実にマンションの建設の増加によって、都市における住宅火災での延焼が減少したことによって人命や財産の損失が少なくなってきていることも事実です。
 
 しかし、マンションが木造住宅よりも丈夫で長持ちするものだからといって、全く手入れもしないままで良いわけではありません。
 
 マンションの躯体部分(柱や梁や壁、床などの建物の骨組み部分)を構成しているコンクリートは、それ自休では水を通す浸透性の材料ですから、建設後の歳月の経過に伴って生じてくる表面のひび割れ(クラック)から雨水等が浸透してコンクリートが持っていたアルカリ性が失われ(中性化)ることで、コンクリートの中に包み込まれていた鉄筋が酸化され錆を発生して膨張し、さらにコンクリートの破壊を促進していくというサイクルを繰り返しながら、建物全体への悪い現象を生じていくことになります。
 
 また、玄関ドアーやバルコニー・廊下・階段などの手摺や鉄製の避難階段のような鉄製のものの錆、屋上やバルコニーの防水の損耗による雨漏れ、給排水管の詰まりや管内の錆に起因する赤水、水漏れなど歳月の経過に伴う劣化現象(経年劣化)による性能・効用の低下、故障などの多発は「物」として避けられないことです。
 
 したがって、マンションを常に住み心地よく長持ちさせるためには、木造の戸建て住宅と同じようにきめ細かな行き届いた維持管理が必要です。戸建て住宅は、建物の規模もマンションに比べれば小さく所有も個人ですから目も届くうえ修繕の実施、修繕の方法、費用等についても個人の意思の範囲で決めることができますが、共同住宅であるマンションでは建物の規模も桁違いに大きく、それにともなって色々な設備機器類も増えて複雑になっているうえに、所有関係でも複数の区分所有者によって共同所有されているものですから、維持管理の仕方についても管理組合に諮って決めていくなどの必要があります。これらの手続きの問題を含めて鉄筋コンクリートや鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物のマンションも、平素から維持管理についての細かい気配りが必要になります。
 
 2.マンションの稚持管理としての修繕
 
 マンションの維持管理には、ソフト面としての管理組合運営のための管理規約とか各種の使用細則や協定などの制定・運用に係るものと、マンションの建物等の「物」の維持管理としての修繕などの問題との2つの面がありますが、ここでは後者のことについ述べていきます。
 
 
 マンションの建物が歳月の経過にともなって劣化(経年劣化)すると、外壁の汚れやひび割れ、タイルの割れや剥がれ、屋上防水のフクレや破れによる雨漏れ、給水管からの赤錆色の水の発生、雑排水管の詰まりなどの生活に支障を来すような様々な問題が発生してきます。しかし、これはマンションの建物に限った特殊な現象ではなくすべての建物で一般的に起きる問題です。ただ事務所ビルなどでは、オーナーのもとでビルの維持管理が組織的に運営され、専門の技術者が配置されているのが普通です。したがって、修繕に要する費用も日常の維持管理をベースに計画的に計上されて必要な時期に修繕を実施することが出来るようになっています。
 
 これに対しマンションでは維持管理に対する認識も考え方も異なる複数の組合員(区分所有者)を管理組合の役員が、同じ方向を目指すように働きかけながら進めていかなければなりません。マンションは、それぞれに立地条件や規模、設備等も異なります。こうした様々な条件を考慮にいれた維持管理のあり方は、そのマンションの管理組合がそれぞれの実情に応じて考え、進めていくことになります。
 
 マンションの建物等の「物」の維持管理は、維持保全と言う呼び方をされたりして、次のように分類することが出来ます。これらの相互の関係を順を追って見ると、まず保守点検を行うことによって、発見された不具合に対し「経常修繕」が初期的で軽微な修繕対象への日常的な小修繕として行われ、これらの経過の繰り返しの中から一定の時期を定め「計画修繕」が性能保持のための予防措置として実施され、更に「改良工事」によってマンションの性能・機能等を増進するための改良・改善が施されるということになります。
 
 
 したがって、修繕計画の(案)を作るにあたっては保守点検・清掃と経常修繕とが適確に行われていることを前提としていますので、もしも、これらのことが確実に実施されていかなければ、計画修繕の計画にも当然に狂いを生じることになります。
 
 @保守点検・清掃
 
 定期的な点検には、建物の外壁や階段・廊下などの共用部分についての外観上の点検と電気設備や給水・排水設備などについての機能点検とがあります。いずれも年月の経過に伴う傷み具合を一定の期間を定めて継続的に変化を調べるもので、これによって応急的な修繕としての経常修繕を行ったり、修繕計画のチェックをしたりすることが可能になります。この保守点検には、建築基準法などの法律で義務付けられているものもありますから、これらは建築士とか特殊建築物調査資格者等の有資格者によって行われなければならないものです。 (マンションの保守点検表)
 
 一方、清掃には廊下や階段などの共用部分に対するものと、受水槽や高置水槽等の共用設備に対するものとがあります。こうした保守点検・清掃は、マンションの維持保全の中でも傷み・不具合の早期発見と言う意味で大変重要な仕事と考えることが出来ます。
 
 A経常修繕
 
 経常修繕は、保守点検によって発見されて、まだ修繕の処置がされてなかったもの、または日常的に発生する比較的軽微な不具合の箇所を修繕するものです。経常修繕は、破損や故障といった不具合が発生してから行う対症療法的な修繕で部分的な修繕であるため、1件当たりの修繕費用も小額となるところから、経理的には「管理費]の中から支出されているのが一般的です。
 
 また、経常修繕は破損や故障などの不具合が発生したときに処置するものですから、いっときでも速やかに対応してやる必要があります。そのためには雨漏りや水漏れ、タイルの剥がれ落ちたりなどの緊急を要するものに対して、すぐに直したり応急処置が取れるような体制を整えておくことも必要です。
 
 B計画修繕
 
 計画修繕は、予め定められた修繕周期にもとづいて、その部分の持っている性能または機能を原状に回復させるためのもので比較的大規模な修繕になります。これは、経常修繕と違って重大な不具合が生じてくる前に予防処置として実施されるものですから修繕周期を一応の目安としながら保守点検・清掃によって見付け出される建物や設備機器類の変化には十分に気を付けておく必要があります。
 
 C災害復旧
 
 災害復旧は、地震や台風などの自然災害や火災などによる被害に対する復旧工事のことで、このような予想されなかった突発的な事故に対しては、損害保険に加入するなどをして経済的な負担に耐えられるように、備えておくことも必要です。
 
 D改良
 
 改良は、修繕がその「物」が持っていた当初の性能や機能への復元・回復であるのに対して、その当初の性能や機能を超えてグレードアップされる部分を、改良または改善と呼んで区別しています。
 
 例えば、外壁改修工事と一緒に行われるバルコニー床の塗膜防水などは、改良工事に該当します。
 
 
 3.修繕計画の必要性
 
 修繕計画は、対象となる部分が共用部分であること、また実施までには相当の期間(修繕周期)があることなどから日常的には、ともすると無関心になってしまい歳月の経過にともなって、色々と重大な支障が出始わてから修繕の必要に迫られて慌てたり、修繕の時期を逸してしまってより重大な支障を来したりするようなことになりかねません。
 
 マンションが外観的にも機能的にも、常に快適であり資産としても常に良好な状態を保っていくために、出来るだけ早い機会に共用部分に「計画修繕」として施されなければならない物には、@どんなものが(修繕の対象・工事の種類)、Aいつごろ(修繕周期・工事の実施時期)、Bいくら(修繕の費用・工事概算)などについて、長期的な展望にたっての計画(修繕計画)をたてておくことがぜひ必要になります。 
 
 修繕計画をたてることによっていつ、何をしなければならないかという目安から、それに向けての準備にかかるなどの関心を持つこと、また所要の金額に対する備えとしての修繕積立金の額や、積み立ての方法や、それらの有利な運用方法などが出てくることと思います。
 
 このように修繕計画をたてることはくノマンションの維持保全にとって大変重要なことですので、管理組合の中で十分に検討・討議した上で長期的な事業計画としての位置付けで管理組合の総会に諮りオーソライズしておくことが心安です。
 
 一般的にマンションの管理組合の役員は、1年ごとに交代するケースが多いので、「計画修繕」についてのしっかりとした長期展望(修繕計画)を持っていないと、その年かぎりの事にのみ気を取られて、数年先の事までを考えて組合を運営することは出来にくくなります。この意味からも修繕計画の必要性についての理解が得られたことと思います。
 
 修繕計画は、作成の目的、趣旨、対象とする計画期間によって、次の3つに分けて考えられています。
 
 修繕計画・・・長期修繕計画、中期修繕計画、修繕実施計画
 
 @長期修繕計画
 
 主要な計画修繕項目の修繕時期について、おおよその目安を定めて修繕計画の大筋を示すもので、20〜25年程度までの将来をその範囲に含めて考えます。
 
 A中期修繕計画
 
 期修繕計画と修繕実施計画との中間的な位置付けのもので、長期修繕計画に比べより具体的で密度の濃いものであり、期間的には5年程度の将来までをその範囲に含めて考えます。
 
 B修繕実施計画
 
 修繕が実施される2年程度の前から、実施に向けての具体的な計画を言います。
 
 4.マンションの設計図など
 
 マンションの維持保全をする上でぜひ必要なものに、そのマンションを建てた時の設計図など(設計図と仕様書を総称して「設計図書」と言います。)があります。大規模にわたる計画修繕はもとより、日常的な不具合への経常修繕であっても設計図によって、その部分の納まりや工事のされ方などが判ったはうがより適確な対応がとり易くなります。
 
 マンションの設計図書が、このようにマンションの維持保全上重要なものであることから昭和51年12月に建設省の計画・住宅両局長からの通達の形で、宅地建物取引業者に対して、マンションの購入者に売買物件に引き渡した後速やかに、設計図書をマンションの管理事務所で閲覧できるようにし、重要事項を説明する書面に、どこに行けば閲覧できるかを記載するようにとの指導がなされています。
 
 一方、建築士法では建築の設計図書の保存期間は5年間と定められているために、入居当初に管理組合が設計図書の入手が出来なかった場合には、なるべく早い機会に管理組合はマンションの分譲業者に対して、これらの図書の引渡を求め保管しておく必要があります。
 
 建設後6年以上を経過したマンションの設計図書を整備するのは、実際には非常に難しくなります。この場合には、設計事務所に新たに設計図書の作成を依頼するか、計画修繕工事の実施にともなって、工事実施部分を積み重ねながら徐々に整備していくかの何れかになりますが、このようにして図面を作成していく場合には、修繕対象とならない隠れた部分は除外されてしまうので、本来の設計図書が全て整備されることにはなりません。
 
 もし、マンションの設計図書がなかったり不足している場合には、先ずそのマンションの販売会社や管理会社に相談してみられることです。販売会社や管理会社に無ければ、そのマンションを建設した施工業者や設計をした建築設計事務所に尋ねてみられるとよいでしょう。
 
 
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